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9月の首都圏中古マンション成約件数は前年同月比で減少し、その減少率は22.7%。一方、成約価格の下落率は4.5%にとどまった。湾岸タワマンの売主が待つ姿勢を続ける一方、買主は毎月の返済額を計算している。投資家がまず見極めたいのは、売却を迫られているのは誰か、賃料でどこまで支えられるかだ。
執筆:Chen|監修:羅兴开|データ基準日:2026年10月31日

市場の変化:取引量が先に減り、価格は追いつかず
10月31日、集英社オンラインが湾岸タワマンについて「売れないのに価格が下がらない」とする記事を掲載した。記事が引用した東日本不動産流通機構(REINS)の9月データでは、首都圏の中古マンション成約件数は前年同月比22.7%減と、六か月連続で減少。東京都区部は30.6%減、周辺各県は7%から19%の減少だった。都区部の成約㎡単価は前年同月比0.9%の下落にとどまり、売出価格は高止まりしている。売出価格と成約価格の乖離が広がる、いわゆる「ワニの口」の状態が続いている。
今回はREINS公式サイトを直接確認できなかったため、首都圏全体の数値は月報を転載した別のページでも照合した。成約件数は3,457件で前年同月比22.7%減、成約価格は同4.5%下落、成約坪単価は同4.8%下落。在庫件数は七か月連続で前年同月を上回り、増加率は15.1%だった。都区部の30.6%と0.9%は現時点では上記の記事でしか確認できず、一次資料の原表にはたどり着けていない。以下では「報道による引用値」として扱う。
データの読み方:成約と売出しを混同しない
共同通信の10月22日付報道は、東京カンテイのデータを引用している。9月の東京23区の中古マンション価格(70㎡換算)は平均1億2,629万円で、前月比0.4%下落し、四か月連続の下落。都心6区は1億7,786万円で、同1.6%下落し、五か月連続で下がった。REINSとは集計基準が異なるため、「前月比-0.4%」と「前年同月比-4.5%」を直接比較することはできない。共通して読み取れるのは、価格は緩み始めているものの、その下落幅は取引量の縮小に比べてはるかに小さいという点だ。
背景:「取引減・価格横ばい」はなぜ起きるのか
記事は背景を二つに分けて説明している。まず、過去数年に実需で購入した所有者には数千万円の含み益があり、離婚や転勤、住み替えなどの事情がなければ、多くは値下げに応じたがらない。次に、買取再販業者が購入・改修・転売に使う資金は、半年から一年の事業融資が中心で、売れなければ高金利での借り換えや返済を求められる。このため損切りの値下げが生じ、湾岸の一部物件では数か月の間に値下げが繰り返され、累計で数千万円に達したという。ただし後者は、単独の仲介業者と記者の証言に基づくもので、まとまった統計の裏付けはない。今後の検証を要する仮説として捉えたい。
買主側の制約は、より計算しやすい。記事で引用された金利条件(35年、元利均等返済)で1億円を借りる場合、年利が0.5%から1.25%に上がると、毎月の返済額は約25.96万円から約29.41万円となり、約3.45万円増える(本稿で試算。ボーナス返済と変動金利の見直しは考慮していない)。価格がほぼ変わらなくても月々の負担は増す。取引が停滞に近い水準まで縮む理由は、この計算からも見えてくる。
賃料による下支え:湾岸三駅の募集賃料単価
投資家にとって、もう一つの判断基準は賃料だ。豊洲・勝どき・月島の三駅について、直近12か月(初回観測日が2025年11月以降)の賃貸募集データから、40~80㎡の住宅の基本賃料を抽出した。募集賃料単価の中央値は、豊洲が0.448万円/㎡(標本243件)、勝どきが0.482万円/㎡(446件)、月島が0.544万円/㎡(448件)だった。

プラットフォームが四半期ごとに算出する募集物件構成ベースの賃料推移も、「賃料も同時に下落している」との見方を裏付けていない。累積変動率は豊洲が+2.65%、勝どきが0%、月島が+4.76%だった。ただし、これは各時期の募集物件の構成変化を含む数値であり、同じ住戸の賃上げを示すものでも、成約賃料でもない。勝どき駅の集計には、駅から徒歩で距離のある晴海周辺の物件も含まれ、対象範囲は広い。結論は、募集賃料には取引量と歩調を合わせた下落がまだ見られず、試算上の下限を考える参考にはなる、という範囲にとどまる。
投資家が確認したい点
第一に、市場全体の値下がりを待つ必要はない。取引量が減っても価格が横ばいの市場では、値下げはすべての所有者ではなく、融資期限の圧力を受ける売主に集中する。登記情報(オンラインで取得可能、各330円)からは売主の取得時期と抵当権者を確認でき、宅建業免許番号の更新回数は業者の資本規模を大まかに推し量る手掛かりになる。いずれも記事が紹介した方法であり、現時点で使える絞り込みの手段だ。
第二に、募集賃料単価を使って保守的に試算する。勝どきの中央値0.482万円/㎡に70㎡を掛けると、月額約33.7万円になる(募集賃料ベースのため、空室や賃料引き下げの余地を見込んで減額する必要がある)。一方、前述の月々の返済増加額約3.45万円は、この賃料の約一割に相当する。湾岸タワマンの購入では、まず「返済額の増加が賃料のどれだけを吸収するか」を計算し、そのうえで値引き幅が十分かを判断したい。
第三に、引き続き確認したいのは10月のREINSデータと、各業者の販売物件の消化状況だ。取引量がさらに減るなかで、ようやくまとまった値下げが始まるなら、価格を譲らない売主の持久力が尽きたことを示す。取引量も価格も動かなければ、市場が一時的に凍結していると捉えられる。関連する背景は、過去の分析も参照されたい。東京のマンション、値下げ幅の動向(10月)、および千代田区による転売への個別要請。
タグ:湾岸タワマン、東京中古マンション、成約件数、東日本不動産流通機構、REINS、買取再販、東京カンテイ、豊洲、勝どき、月島、賃料単価、住宅ローン金利、東京都区部、投資判断
参考資料
集英社オンライン(Yahoo!ニュース配信)「湾岸タワマンが『売れない』のに、なぜ価格は下がらない?」2026年10月31日:https://news.yahoo.co.jp/articles/0dcc232a768367e24ce2d9ef670acae404b63fda
R-bay「9月の首都圏中古マンション」(東日本レインズ月報の転載)2026年10月13日:https://www.rbayakyu.jp/rbay-kodawari/item/8885-9
共同通信(熊本日日新聞)「東京23区、4カ月連続下落 9月、中古マンション価格」2026年10月22日:https://kumanichi.com/articles/2049317
Urbalytics賃貸募集データ(rent_stats、初回観測時期:2025/11~2026/10、40~80㎡、基本賃料)。対象建物の例:THE TOKYO TOWERS MIDTOWER
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