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直近、東京都板橋区にある築40年以上の老朽化マンションが世論の注目を集めている。同物件は本年初め、中国登記の法人が代表を務める企業へ所有権が移転。その直後から入居者に対し、8月以降、賃料を従来比260%〜320%へ大幅引き上げる旨の通知が相次いで届いた。専有約30平方メートルのタイプでは、月額賃料が7.25万円から19万円へと急騰し、当該エリアの同種物件の市場価格を大きく上回る水準となる。突然の値上げ通知を受けて退去が相次ぎ、現時点で入居者の約4割が退去済みまたは退去を決定している。
さらに物議を醸しているのは、同マンションが無届のまま民泊を運営しているとの入居者の指摘だ。宿泊客の出入りが頻繁で、騒音トラブルも深刻化している。加えて、館内に1基しかないエレベーターが先月突然停止し、復旧まで最長半年を要する見込みで、高層階の住民、特に高齢者の生活に深刻な影響が出ている。これらの点について所有者側の代表は取材に応じていない。本件は日本のSNSで急速に拡散し、東京における老朽住宅の監督、民泊の適法性、そして外資関与下での賃貸関係ガバナンスに横たわる多くの課題を露呈させた。

東京での民泊運営は本当に稼げるのか?
はい、十分に利益が見込めます。特に一棟運用は有利です。
日本、とりわけ東京では、民泊運営は有望な収益ポテンシャルを持ち、特に一棟物件のオペレーションでその傾向が顕著です。観光需要の回復と円安の追い風を受け、市場は力強い拡大局面にあります。
日本政府観光局(JNTO)のデータによれば、2024年7月の訪日外国人は約329.25万人で、2019年比で10.1%増、2023年同月比でも800万人超の増加となりました。こうした伸びが民泊需要を直接押し上げ、投資熱を加速させています。
表面利回りは10%超
例えば下図の目黒エリアの一棟民泊では、想定年間収益は1,410万〜1,810万円と試算されています。

Urbalyticsの検索機能で確認すると、目黒の一戸建ては坪単価約390万円、100平米の物件価格は概ね1億〜1.2億円です。年間収益が1,410万〜1,810万円であれば、表面利回りは12%〜18%に達します。
運営費20%〜30%を差し引いても、実質利回りが10%超となるケースは少なくありません。周辺の同様な一棟収益物件の表面利回りが3%〜4%であることを踏まえると、一部のオーナーがリスクを取って強硬策に出る理由も理解できます。

前述の一棟運用では、広告費や清掃費など多くの運営コストを按分でき、コスト効率が高まるため、実際の利益率は一段と良好になります。これが、本文の事例でオーナーが強引に入居者の退去を促す行動に出た背景でもあります。
「悪質な賃上げ」は違法か?借主はどう対処できる?
賃料値上げそのものは違法ではありませんが、周辺の平均水準を大きく超える悪質な賃上げは違法となり得ます。
借地借家法第32条第1項:
建物の賃料が、土地又は建物に課される租税その他の負担の増減、土地又は建物の価格の上昇若しくは低下、その他の経済事情の変動、又は近傍同種の建物の賃料との比較により不相当となったときは、契約の定めにかかわらず、当事者は将来に向かって建物の賃料の増減を請求することができる。
同条に基づき、貸主は税負担の増減や経済状況の変化、周辺相場の動向等の一定事由がある場合に賃料の調整を請求できます。ただし、調整には借主の同意が必要で、貸主が一方的に実施することはできません。借主が不同意の場合は、貸主は裁判での判断を求める必要があり、裁判所は市況や合理性を踏まえて裁定します。実務上は、多くの事例で旧賃料と市場賃料の中間的な水準に落ち着きます。市場を大きく上回る増額が求められても、裁判で認められる可能性は極めて低いといえます。
実際には、市場価格を大きく上回る値上げ通知は、入居者の自主的な退去を促すことを目的としている場合が少なくありません。例えば、建替えを予定している、あるいは民泊用途への転用を計画しているといったケースです。もっとも、入居者が明確に値上げを拒否し、居住継続の意思を示す限り、貸主がより強権的な法的手段で強制退去させることは、原則として困難です。
貸主による「嫌がらせ」への対応
一般の借主は、SUUMOやHOME'S等で周辺の平均賃料水準を確認できます。Urbalyticsでも賃料検索が可能で、掲載データを比較することで値上げの不合理性を主張できます。
場合によっては、貸主がエレベーターの停止や共用部の電源遮断などで退去を迫ることがあります。これらは「嫌がらせ」と評価され得ますが、貸主が設備老朽化や保守を理由に挙げると、悪意の立証は容易ではありません。ただし、生活の質に重大な支障が生じる場合、適切な賃料減額を求めることが可能です。例えば、専有部設備の使用不能では約10%の減額が認められた裁判例があり、共用部(エレベーター等)の不具合では減額幅がより小さくなる傾向があります。
値上げに不同意の場合でも、従前の賃料を期日どおりに支払うことが重要です。貸主が受領を拒否する場合は、法務局の「供託」制度を利用して賃料を供託し、支払義務を履行したことを示すことで、債務不履行の主張を回避できます。

結語
東京の民泊市場は、観光回復と海外資金の流入を背景に、強い収益性を示しています。しかし、過度な利潤追求は賃貸関係の緊張を招き、ともすれば社会問題化しかねません。借主にとっては、自身の権利を理解し、貸主の賃上げ要求に適切に対応することが不可欠です。投資家や政策当局にとっても、収益性と社会的責任の均衡を図り、賃貸市場の健全な発展を確保することが、看過できない課題となっています。
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